統計における質問・疑問

よくある統計の質問・疑問

私たちは,日常診療の中における患者との対話の中で,小さな疑問が出てくる.
たとえば,「血圧測定は,左と右のどっちを測定すべきなの?」,
「冷え症と思うけど,冷え症を客観的に評価する検査があるのか?」など.

以上のような日常診療から生まれた素朴な患者からの質問は,臨床医ならば,多く経験すると思います.
決して医療界・医学界を動かすような大きな疑問ではありませんが,
患者さんにとっては大事な答えではないでしょうか?


日常診療におけるほんの小さな疑問ではあるが,実際に論文にしようと考えると,
データサンプルの設定,測定方法,測定者間の誤差,その検査の信頼性,
食事前後による血液検査の違い等のデータをマネージメントしなければならない要素が,
次々と出現し,論文のデータを統一しなければなりません.

実際に経験した質問・疑問

先ほど,用いた例文は,
「両手の血圧と利き腕には違いがあるの?」,
「冷え症ってどう測定するの?」は,患者さんからの質問です.
 

そのほか,どうしても,逆紹介患者がすぐに帰ってくるという事実があり,
医療連携の1つである病診連携はなかなか促進されませんでした.
「患者の求める医療連携とはどんなものだろう」と疑問を持ちました.


日常診療における医師自身が持つ疑問,または患者さんの質問・疑問は,
上記のように「とても素朴で単純」と思いませんか.

しかしながら,患者の素朴な質問は,文献検索しても実際には,
載っていないことをよく経験しませんか?

素朴な質問から論文へ

私の外来では,患者さんの質問・疑問について,論文が存在しなかった場合,
患者さんに「分かりませんでした」とちゃんと説明し,
「質問に対する答えを一緒に作りましょう」と追加説明し,
同意・データの提供して頂き,そして,問題解決できるように,皆さんに助けてもらっています.


「利き腕と血圧較差」の論文を提出した時には,査読された先生から「とても小さな研究である」と指摘されました.
確かに,大学病院のような規模の大きい研究と比較すれば目立つような研究ではありません.

とても,小さい研究ですが,それでも新規性のある研究と信じ,最終的にはアクセプトされる結果となりました.
私の小さな研究結果は,患者さんからの「素朴」な質問であるので,
患者さんへダイレクトに還元され,より実用的な臨床研究となると信じています.

日常診療を実践している先生方もインパクトファクターを持つ雑誌にアクセプトされた時は,
これからの診療に対するモチベーションがさらに高まることではないでしょうか?

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